子供でもエストロゲンにきわめて敏感な場合があります。有名なメディカルライターのバートン・ルーチエは、乳房が大きくなりだした六歳の少年の話を書いています。肥大化の原因をたどってみると、ビタミンの錠剤にたどりついたのです。
錠剤の製造工程で、一台の打ち抜き機がビタミンとエストロゲンの両方に使われていたのです。「機械からビタミンの錠剤に付着したごく微量のエストロゲンにどれほど大きな作用があるかを考えてほしい」とルーチエは書いています。少年の胸はビタミン剤の服用をやめると小さくなり、両親は胸をなでおろしたのです。
逆に、テストステロンなどのアンドロゲンは、乳房の脂肪の発達を抑制します。先に見たように、アンドロゲンに対する反応が遺伝的に弱い女性はバストが大きくなりやすいのです。また、生殖腺がテストステロンを充分に分泌しない男性は、女性化乳房になることがあるのです。
男性はエストロゲンをわずかしか分泌しないですが、それでもテストステロンが乳房の成長を抑えないと体が急いで脂肪の貯蔵所をつくってしまうのです。ここでも男女を分ける線がいかに細いかを見せつけられます。
それは両性に発達しうる能力を秘めた胚の生殖隆起と同じ細さ、私たちすべてがもつ乳腺堤のあの細さです。
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